2002-10-11

日本ハンザ史研究会会報 第1号

設立総会および第一回研究会報告

2002年9月28日(土)に日本ハンザ史研究会設立総会及び第1回研究会が、中央大学理工学部キャンパスにて開催されました。幸いにも、本研究会の趣旨に多数の皆様からご賛同をいただき、ハンザ史をはじめ、ロシア史、北欧史、フランドル史などを専門とする41名の方々に、入会していただきました。設立総会及び第一回研究会には、会員の半数にあたる20名の参加者が全国から集い(北は北海道、南は九州)、盛況の内に会を発足することができました。この場を借りて、当日の参加者及び本研究会の発足にお力添えをいただいた皆様に御礼申し上げます。

2002-09-28

第1回研究会

  • 日時:2002年9月28日(土)16時
  • 場所:中央大学 後楽園キャンパス 六号館6701室
  • 高橋理(立正大学文学部)「フィンチャルの聖ゴドリクと中世ヨーロッパの『商業革命』」
  • 参考文献:「フィンチャルの聖ゴドリクとその時代 —中世ヨーロッパにおける商業復活の解明に寄せて—」『立正史学』93、2003年3月、9-26ページ

設立総会

  • 日時:2002年9月28日(土)15時
  • 場所:中央大学後楽園キャンパス 6号館6701室
  • 設立趣意書
  • 会長・事務局の選出
  • 研究会の活動方針・研究活動に関する協議

設立趣意書

近年の我が国における西洋史学の発展は誠に目覚ましく、欧米の研究に追随する段階を今や越えつつあり、時には逆に欧米学界に新風を吹き込む成果も邦人の手によって発表される勢いにあります。しかしながら、西洋史全休を見渡すとき、なお欧米に比し立ち遅れている分野が依然として見出されることは事実です。そのような分野の一つとして「ハンザ」史を挙げることができましょう。これ程、我が国における西洋史学の水準が高まったにもかかわらず、「ハンザ」の実態は今なお不充分にしか知られていないのが実情です。

ヨーロッパ、特に「ハンザ」との関係が最も深いドイツでは、このテーマに関して実に一世紀余に及ぶ層の厚い研究の蓄積があり、百数十年の歴史をもつ「ハンザ史協会」のもとで専門誌「ハンザ史学叢書」が発行されております。もとより、我が国においても高村象平氏、増田四郎氏に先駆的研究があり、その水準の高さは評価されるべきでありましょう。それにもかかわらず、これら先学の業績は充分には継承されることなく、今日に至っていることが残念でなりません。

ヨーロッパ都市は、規模が小さいにもかかわらず、歴史を動かす積極的主体として行動した点に特色があります。日本史上には見られないヨーロッパ特有の現象としてヨーロッパ都市史は我々が研究するのに値するテーマであると思います。その都市が主体的存在として共通利害を守るべく相互に協カした結果である「ハンザ」史は、また、日本の研究者にとってきわめて重要なテーマであると言えましょう。しかも「ハンザ」の地理的範囲は広大であり、ドイツのみならず、ロシア、スカンディナヴィア、低地地方をも圏内に収めていることもあり、最近の学会では「ハンザ」に関わりのある発表も少なからず見られるようになりましたし、「ハンザ」に関わる研究を目にする機会も増えました。

以上のような現状を鑑みます時、「ハンザ」という共通テーマの下に多数の研究者が集うことにより様々な成果が期待できるのではないかと考えられます。そこで、直接、間接に「ハンザ」と関連した研究者の皆様方の御賛同を得て研究会を結成いたしたくご案内を申し上げる次第です。なにとぞ趣旨を御理解いただき、御入会、御参加をお願い申し上げます。

発起人 高橋理(立正大学文学部教授)